資格

特養の生活相談員に必要なスキル7選|資格要件についても解説

  1. HOME >
  2. 資格 >

特養の生活相談員に必要なスキル7選|資格要件についても解説

特養の生活相談員は、施設と利用者の窓口として家族や外部事業所との連絡調整をしたり、入退所の調整をしたりする職種です。

「生活相談員に必要なスキルはどんなもの?」

「自分は生活相談員になれるだろうか?」

生活相談員の仕事内容は多岐に渡るため、これから相談員になりたいと考えている方は、このような不安を感じることもあるでしょう。

本記事では、特養の生活相談員に必要なスキルと資格要件について解説します。

生活相談員になってキャリアアップしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

さとひろ

ぼくは特養の生活相談員を10年以上経験し、今も現役で働いています。

法人内にある他の2つの施設の相談員の育成も担当しています。

生活相談員とは

特養の生活相談員は、利用者や家族との相談や連絡、調整などを担う相談援助職です。

介護職員や看護師、ケアマネジャーと、管理栄養士、機能訓練指導員などと連携し、利用者が施設で安心して過ごせるようサポートします。

配置は利用者100人に対して1人という基準なので、ひとつの施設に配置されている相談員は1〜3人程度でしょう。

相談員の仕事内容は多岐に渡り、ざっと羅列しただけでも以下のようなものがあります。

  • 施設の説明や契約など、入退所に関する手続き
  • 利用者や家族の相談対応
  • 稼働率管理(ベッドコントロール)
  • ケアマネジャーや病院のソーシャルワーカーなど、外部事業所との連絡調整
  • クレーム対応
  • 行政との連絡調整
  • 請求業務
  • 地域住民との交流

同じ相談援助職といえるケアマネジャーとの違いがわからないという方もいるでしょう。

「利用者や家族の相談を受け、施設生活を安心して過ごせるように調整する仕事」という意味では、相談員もケアマネジャーも同じ役割です。

その中でもケアマネジャーはケアプランを作成する役割で、相談援助職の中のケアマネジメントの分野に特化しています。ケアマネジメントは以下の一連のプロセスのことをいいます。

  1. 利用者の心身状態を把握する
  2. 生活課題を明らかにする
  3. 課題を解決するためのケアプランを作成する
  4. 利用者や家族に説明して同意を得る
  5. 定期的に振り返り次のプランに活かす

介護職の次のステップとしてケアマネジャーを考える人は多いです。しかし、先に相談員として幅広いスキルや知識を身につけてからケアマネジャーに特化した方が、より専門性の高いケアマネジャーになれると考えています。

生活相談員に必要なスキル7選

次に、生活相談員に必要なスキルを以下の7つにまとめています。

  1. 接遇
  2. 相談援助技術
  3. 調整力
  4. 営業力
  5. 経営者的視点
  6. 仕事管理能力
  7. 介護技術

どれも大切なスキルですが、いきなりすべてを身につけることはできません。経験しながら少しずつ身につけていきましょう。

1. 接遇

接遇は、相談員にとって最も大切と言っても過言ではないスキルです。 利用者が入所の申し込みをしてから、実際に入所するまでの間に、施設のスタッフで一番接する機会が多いのが相談員です。場合によっては、入所するまで相談員以外のスタッフと顔を合わせないということもあるでしょう。 そのため「相談員に対する印象=施設の印象」であることを相談員は意識しなければなりません。

また、相談員は面接や行政対応などで外にでかけることが多い職種です。外出先の施設や役所で横柄に接していると、いざというときに協力してもらえなくなることもあります。

過度にへりくだる必要はありませんが、最低限のビジネスマナー、コミュニケーションスキルは身につけておきましょう。

2. 相談援助技術

利用者や家族、外部の事業所のスタッフと接する上で、相談援助技術を身につけておくと、スムーズに調整をすすめられます。

具体的には、相手の言葉や行動に注意しながら話を聴く「傾聴」や、バイスティックの7原則を理解できるとよいでしょう。

バイスティックの7原則は福祉系の資格試験によく出題されるケースワークの原則です。

7つの原則は以下の内容になっています。

バイスティックの7原則

  1. 個別化
  2. 意図的な感情表出
  3. 統制された情緒的関与
  4. 受容
  5. 非審判的態度
  6. 自己決定
  7. 秘密保持

どれも大切な原則ですが、ぼくは、5.非審判的態度をいつも意識しています。

経験を積むと、過去のケースに合わせて「このケースは看取りにしたほうがいい」「入院すべきです」と自分が審判のようにジャッジしてしまいがちです。しかし、あくまで決めるのは本人やその家族で、施設の役割は選択肢を与えることを意識しましょう。

ケースワークの7原則

3. 調整力

家族との入所調整や病院との入退院、行政との関わりなど、相談員や調整役を担っているので調整力は自ずと必要になります。

どんな場面の調整でも、大切なのは「ホウ(報告)・レン(連絡)・ソウ(相談)」です。基本的なことですが、調整力のある相談員は細かいことでも「ホウ・レン・ソウ」を怠りません。

これから起こることを想像し「ホウ・レン・ソウ」を繰り返すことで、調整力は身につくでしょう。

福祉業界は紙でのやりとり(特にFAX)がまだまだ残っています。名刺にメールアドレスが記載されていても「ほとんど見ないからFAXだと助かります」と言われてしまうこともまだまだ多いです。できる相手からでもメールやチャットを活用する頻度を増やしていくことで、調整も効率的になります。

4. 営業力

現代の相談員は、稼働率のノルマ達成が至上命題になっているため、営業力は必須です。

以前は僕も「営業は一般企業がすること」「福祉で営業は必要ない」と思っていました。ですが、特養でも”選ばれる施設”にならなければ利用者の獲得はできません。

地域のケアマネや病院のソーシャルワーカーが考えるのはどの施設に相談するかではなく、どの相談員に相談するかです。これまでの関係性や顔なじみになっていることで、相談を受けやすい環境をつくれます。

とはいえ、どの事業所も忙しいので、定期的に訪問し施設の説明をしても効果はあまり期待できません。

例えば僕は面接時に以下のことをしています。

  • 初めていく施設には施設で対応できる医療的ケアの一覧表を持参する
  • 「今なら食事介助がある人でも対応できる」「女性の4人部屋は案内しやすい」などタイムリーな情報を伝える

このように、1件面接に行く際に、次の利用者の面接につながるように意識しています。そのために、施設内を歩く際は「このフロアは認知症の症状があっても今は大丈夫」「食事介助があるときつい」といったことを考えながら歩いています。

5. 経営者的視点

相談員が稼働率を維持するためには経営者的視点を持つ必要があります。日々の稼働率や空床数、入所業務の進捗状況は常に把握しましょう。

施設運営を継続していくために稼働率を維持する必要があり、退所者が出た場合には、すみやかに次の入所者の調整をします。

このとき、現場のスタッフから「気持ちの切り替えができない」「現場の負担を考えてほしい」と言われてしまうこともあるでしょう。現場に負担をかけてしまうことは事実なので、訴えを無碍にすることはできません。ですが、普段からよい関係性を作っていたり、給料や賞与につながることをやんわり説明して「まぁしょうがないか」と思ってもらえる状態を目指せると良いでしょう。

6. 仕事管理能力

相談員には仕事管理能力も必要です。

相談員は利用者100人に対して1人の配置。しかも仕事内容は多岐に渡ります。仕事はいくらでもあるので、残業ばかりしている相談員もたくさんいます。

さとひろ

ぼくも以前の職場では30時間程度残業していましたが、今はほぼ定時で帰宅しています。

仕事を管理する際のポイントはスケジューリングにあります。特に月々決まったルーティンの作業は、”○日にやる”と決めておき、後から入る予定は別の日にいれるようにすると効果的です。

また、通院や不穏な利用者の対応、センサー類の修理などを依頼されてしまい断れないこともあるでしょう。

しかし、相談員の本来業務は入退所業務です。優先順位をつけて自身の仕事を管理する力を身につけましょう。

7. 介護技術

相談員に介護技術は不要と考える人もいますが、相談員にも介護技術は必要です。

理由は2つ。

ひとつは、面接で利用者の聞き取りをする際に、その方の介助で気をつけなければならないことを把握するためです。食事介助が一部介助と言われても、自分に介助経験がなければわかりません。面接先のスタッフからの説明を自施設のスタッフに説明するためにも、介護技術が必要です。

もうひとつは、通院や入所のお迎えで相談員が移乗や更衣の介助をすることがあるためです。 介護未経験で相談員に配属された場合は「最初の1ヶ月は現場にはいる」「1日の中でこの時間帯は現場に入る」というように、介助を経験する機会を作れるよう上司と相談しましょう。

生活相談員の資格要件

特養の生活相談員になるには、以下の3つの資格のいずれかが必要です。

  • 社会福祉士
  • 精神保健福祉士
  • 社会福祉主事任用資格

これらの資格がない場合でも、都道府県によって独自の要件を定めている場合があります。

例えば東京都では、以下の要件に該当する場合でも生活相談員になることができます。

  • 介護支援専門員
  • 特別養護老人ホームでのケアプラン作成に関する実務経験が1年以上ある
  • 老人福祉施設の施設長経験者
  • 介護福祉士をを取得した後、介護に関する実務経験が1年以上ある

要件は自治体によって異なるため、自身が働く施設はどのような要件があるのか確認しておきましょう。

まとめ:生活相談員に必要なスキルを身につけて頼られる存在になろう

特養の生活相談員の仕事は多岐に渡り、相応なスキルを求められます。

経験を積み、必要なスキルを身につければ、自然と施設内で頼られる存在になっていくでしょう。

生活相談員は資格がなくてもなれる場合があります。しかし、社会福祉士のような資格を持っていれば、候補者に選ばれる可能性が高いです。

社会福祉士の資格取得を目指すなら通信講座の受講がおすすめです。

ユーキャンなら、10年間で4,200名以上の合格者を輩出しており、9割近い受講生が働きながらチャレンジし成果を出しています。次回以降の新カリキュラムに対応しています。

まずは資料請求からしてみるのはいかがでしょうか。

  • この記事を書いた人

さとひろ

介護する人もされる人も、安心して穏やかにすごせる環境 ”CARE GOAL=ケアゴール" を目指して、ケアする人をケアします。

特養で働き続けて20年。
介護士 、施設ケアマネジャーを経験し、現在は生活相談員&副業Webライターをしています。

【保有資格】
・社会福祉士
・公認心理師
・介護支援専門員
・第2種衛生管理者
・介護福祉士
・福祉住環境コーディネーター2級
・日商簿記3級

-資格